付 録

 2004年10月に某オークションで不動車(2年間)に入札。
「どうせレストアするのだから」とある程度の「ボロ」は覚悟をして格安で落札。
 これが、納車したときの全体像で、とても綺麗に見えますが、実際は・・・。

 こんな感じで結構キテます。(ナックル部割れ等)

 この時点で戦意喪失。
他にもタンクが凹んでいました。



 スタートから「弱気になってはダメだと」自分に言い聞かせて、我が人生初のレストアがスタートしました。

  作業はカーポート下で行います。
 何しろ、全部バラシて各部を点検・磨き・修正をしなければならないので、外したパーツ類はビニール袋にメモと一緒に保管します。

 一人では重たくてエンジンを下ろすことは出来ないので、この様に寝かします。
そして、R廻りを外したらフレームを引き抜きます。

 やはり、エンジンは重たいです。
 資料によると約70sです。

 この油冷エンジンのデザインは綺麗ですね。
「このまま、飾っておいても良いなぁ〜」なんて思ってしまいす。

 この時点でエキパイのスタッドボルトが1本固着していて、折っています。

 この後、更なる悲劇が・・・。

 腰上分解の始まりです。
 ここまでは順調に作業は進んでいて、「この先は楽勝」なんて思っていたら、シリンダーが固着していて外れない。
「あて木」をしてガンガン叩いてもチョット動いただけ。
フィンを2カ所折ってしまいましたが、1時間程かかり何とか外すことに成功。

   「ふう〜ん」「へぇ〜」こうなってんだ、などど関心をしています。
 
 更に分解は続きます 分解作業が終わり、外した部品を確認していくと何と、3番コンロッドが曲がっているのを発見!!

 パーツ発注をしたら廃盤の連絡が・・・。
バイク屋で「修正出来るか?」相談しましたが、答えは「NO」

 最後の手段、某オークションでエンジン1基(走行距離は約8000q)を落札しました。

 この事が、後々、このレストアで大変に役立つ事を本人は知りません。

 エンジンを2基所有する事になったので、各パーツを計測しサービスマニュアルの数値に近い物を選び作業を進めます。(ホントはこんな事をして良いのかな?)

 全てを分解したので、今度は確認・洗浄をしなければなりません。
 荷札にメモをしながら計測をしています。

 洗浄はアルカリ系のクリーナー液に浸けて置くと、30分もするとこびり着いたカーボンが軟らかくなり、簡単に落とせる様になるので、その後はボンスターを使い作業します。

 100円ショップで買ったトレーはサイズも色々あり大変に便利でね。



 ヘッドも洗浄、その後リューターでヘッド内やポート内のバリ等を削ります。
リューターは100円ショップで800円の物を購入しました。
 単三乾電池4本で駆動し先端の刃も交換出来ますが、連続作動時間は5分ですがバリ削り等が主な作業なので、何とかなりました。(苦笑)

  EX側内部。
 写真では見にくいですが、カーボンも落ち、表面のザラザラも綺麗に整えました。

 IN側内部は洗浄作業で落ちなかったカーボンを落とす程度で終了。




 作業の終わったヘッドです。(このヘッドは2基目の物です)
まるで新品の様になりました。


 バルブもエンジン2基分32本の中から16本を厳選しています。
 計測するとかなりの本数が既定値より細い物が有ることが判明。
 

  バルブの摺り合わせの確認です。

「光明丹」が途切れている所があるのでやり直し。

 最初に「粗め」のコンパウンドでザッと摺り合わせをして、次に「細め」で丁寧に作業。
 ここで注意しなければならないのは「あたり幅」が広くなってしまうと、逆に圧縮漏れの原因になるそうです。

今回は1ミリ幅に仕上げたつもりです。

 今度は綺麗に「光明丹」が綺麗になっているでしょう。
16本を仕上げるのに約2時間程掛かっています。
 
 ヘッドの「合わせ面」はオイルストン(#400)で軽く整えてみました。

 コンロッドの中央には元々溝があります。

 今回はリューターでその溝の表面を整え少しだけ深くしました。
 この金属はとても堅く、苦労しました。

 これは出来るだけオイルが可動部に行きやすくする目的があります。




 ピストンもカーボンをしっかり落とします。
このピストンも8個の中からピストンピンとのクリアランス(感覚)で選びました。
 
 重量合わせをするために、ピストンリング・ピストンピン等を組み込み、コンロッドとの組み合わせで重量誤差±0を追求します。

 こんな感じで様々な組み合わせを試します。
最終的にはリューターで削って仕上げます。
今回は1組だけ約1gを削る事になりました。
しかし、実際には1gも削っていないと思います。
ハカリは調理用で1g単位の物だしね。


 組み合わせが完了したら新品のメタルを使いコンロッドとクランクを規定トルクで組み付けます。

 ヘッドにバルブを組み付けます。
摺り合わせたバルブを同じ所に組みます。

 1度、組上がったのですがスプリングを組み忘れて1個余ってしまいました。苦笑




                                  

 出来上がったクランク一式とギア関係を組み込みます。

 エンジンケースは事前に洗浄・バリ取り・ケース合わせ面内側の面取りなど仕上げてあります。
 オイルラインは徹底的に洗浄・清掃をしました。

 一升瓶のケースの上にアッパーケースを逆さまにして乗せてオイルを注しながら組みます。
 カムチェーンを忘れずに組み込みます。

 ケースの合わせ面の脱脂をしてから液体パッキンを薄く塗ります。
後は締め付け順と締め付けトルクを守りながら作業をすれば腰下は完了します。

 クラッチも組み込みます。
 
 特に難しい所は有りませんでしたが、パーツは中古なのでバリ等があればヤスリ等で修正です。





 いよいよ、エンジンの組み付けのヤマ場に突入。

 ピストンのシリンダーへの挿入に入ります。

 ピストンをコンロッドに組み込み、最大のヤマ場に入ります。
専用工具を使おうと思いましたが、素手による組み込みに挑戦してみました。(工具を買う決断が出来ませんでした)
 スリーブ内側とピストンリングにオイルを塗り3番から。
以外と素直に挿入完了し、次は2番に
 2番に集中しすぎていると、せっかく入った3番が抜けてしまい、作業は最初から。
 慣れると以外にも簡単(偶然)に作業完了。
 



 総作業時間は30分程度でした。
この作業をしていた季節は2月だったので、作業時間が短くて助かりました。


 ヘッドも載りエンジンの完成が目の前です。

 オイルをタップリ注油してクランクをしてみます。
幸いにもスムーズに回す事が出来ました。

 後はタペット調整でエンジンは完了です。


 エンジンが完成したので今度はフレームとの合体です。
これは、エンジンを降ろした時と同じ方法で行います。



 4ヶ月前に見た姿に段々と近づいて来ました。

 このレポートには有りませんが、(写真を撮るのを忘れました)夜はキャブレターを室内でOHしたり、ハーネステープを巻き直したり作業は昼夜を問わず同時進行しています。


 Rサス関係は何も?イジッてはいません。
リンク部品をバラしてグリスアップをした程度で、サス本体は某オークションで入手したオーリンズを装着。(贅沢)

 Fサスはインナーチューブを業者に依頼して再メッキする事を考えていましたが、某オークションで何と新品Fフォーク一式が出品されたので落札。

 車体編はここで終了です。
 初めてエンジンを組んだ感想は「急がない・丁寧に・集中」ですね。
もし、自分もOHに挑戦してみようと思ったなら、雑誌やインターネットで情報を入手し、頭の中で何度もイメージトレーニングをして下さい。
 多分、出来ると思います。(自己責任ですよ)



 さて、ここからは塗装編に入ります。
 
外装類は全て缶プレーで仕上げます。

 購入時タンクは凹んでいましたので給油口から曲げた鉄棒を入れて裏側からかなり強引に修正を試しましたが、パテ埋めする面積が広く、後々、パテが痩せたらカッコ悪いと思い、中古品を購入しました。
 

 剥離をしなければなりません、雑誌などを読むと「全剥離をすると錆び易くなる」等とかかれていますが、全剥離に決定。
 悩んだのは剥離方法で、「剥離剤」を使う方法が一般的ですが、これはとても根性が必要とされる作業なのを知っているので、このレストア初の業者以来を決断。
しかも、サンドブラストで全剥離。(今回は7000円程度でした)

 業者から届いた梱包を解くとビニールに包まれた除湿剤とザラザラのタンクが出てきました。

 最初に「脱脂」、これを怠ると塗装が失敗するので、脱脂剤をケチらないで隅々まで丁寧に作業です。
脱脂が終わったら、プラサフを細かい所から先に塗装。

 裏の入り組んだ所は、反対側から流れ出るまで吹きました。
タレても裏側、気になるのならば乾燥後にペーパー処理をすれば解決するから良いんです。(上写真は剥離後)
 錆びるのはゴメンですからね。


 細かい所までしっかり剥離されています。

 剥離剤を使って、ここまで綺麗に剥離するのは気が遠くなってしまいます。



    プラサフ塗装中(右図)


 燃料系等を止めるボルト穴には使われていたボルトを使いネジ穴が塗料で埋まるのを防ぐ為にねじ込んでおきます。
 これは同色で塗られたボルトでお洒落を狙ってみました。

 塗りにくい裏側から塗装。

 裏が終わったら表を塗装。

     乾燥を一昼夜。
 #800程度の耐水ペーパーで軽く水研ぎをして、次は脱脂をして白サフ塗装。
 白サフもバンバン吹き、日中で1時間程度乾燥させて#800程度の耐水ペーパーで水研ぎをして、梨地の表面を整えます。

 ここからは、本塗りなので慎重に作業開始。
 ベースとなる「白」を吹きます。初めは全体に軽くマダラ程度に、10分後に再度少しマダラ程度に、また10分後に今度は全体が均一になる様に吹きます。
 数日間の乾燥をさせて耐水ペーパー(#1000)で表面の梨地をツルツルにします。
 再度、全体に多少厚めに塗装をします。
 これには私なりの考えがあるのです、それは水研ぎで表面の塗幕の凸凹を無くし限りなく均一な表面を作りたかったからと塗料がタレても水研ぎで修正出来る為、かなりの量をそぎ落とす事になると思ったからです。

 

 次に青を塗る為のラインをマスキングします。

 こんな感じで塗ります。

 裏面なので慎重にパパッと塗装。






 水研ぎの事も考えて多少厚めに吹きます。
 塗装後、約5分後にテープを剥がします。あまり乾燥をさせすぎるとテープを剥がした時に境目がバリバリになってしまいます。(要注意)

塗装の大敵は「湿度」と「ホコリ」です。
急いで塗っても何も良い事はありません。
ご注意下さい。




 ドンドン作業は進みます。
マスキングテープを剥がしたら、耐水ペーパー(#1000)を大きめの消しゴム(自己流)に巻き着けてタンク全面の梨地が無くなるまで磨きます。
艶が無くなりますが、クリアーを吹けば復活するので大丈夫。

その時に、マスキングテープの境目も修正します。

 画像の黄色いテープはステッカーを貼る時の位置決め用です。



 続いてカウルの塗装です。
古い塗装を剥離するのですが、ペーパー等での剥離は時間と手間が掛かるので、禁じ手?の剥離剤を使用します。
 
 プラスチック製品と剥離剤は相性が悪いので、剥離剤を塗ったら5分程で
古い塗幕を剥がし始めて、10分後には水洗いをしましょう。
 それ以上、時間が経つとカウルが溶けます。

 それでも残った塗幕は地道にペーパーで落とします。
 
 画像のマダラ模様はペーパー掛けでも落ちなかった塗装や凸凹を確認する為の「捨てサフ」の跡です。
 
 どんなに丁寧にペーパー掛けをしてもこんなに凸凹が出ます。(シートで隠れる部分は適当に手抜きです)

 プラサフの乾燥後に耐水ペーパ(#800)を掛けて凸凹を確認。

 古い塗幕部分は「縮み」を生じる事がありますが、慌てないで乾燥したら耐水ペーパ(#800)掛けをして、再度プラサフを吹きます。

 それと同時作業で凹でいる場所はパテで修正します。
今回は勝手な判断で、薄くパテを盛るのでプラモデル用のラッカーパテをシンナーで溶いて修正しました。(多分、大丈夫だと思います。)


 作業手順が前後しますが今回はプラサフ塗装の前に「ミッチャククロン」を使用しました。
 この商品はプラスチック製品と塗装の密着性を高める効果があり、曲げに対しての塗装の剥がれ防止を狙ってみました。

 パテ修正が終わったら再度プラサフを軽く吹き、耐水ペーパー(#1000)を掛けて、白サフを吹きます。
 
 こんな感じに仕上がります。
 


 こんな作業の繰り返しで全てのパーツを塗ります。
 全パーツの下地処理が完了するまでに1ヶ月以上を費やしています。


 Fカウルは某オークションでレプリカ品を入手。

 今回は全てのラインを塗り分けの予定です。
 


 今回使用した缶スプレー色は、青・・・ワゴンR用、白・・・ワゴンR用、紺・・・ワゴンR用、水色・・・一般。
 何処でも手軽に入手出来る物を使うのも今回のテーマでしたが、「青」は近似色が無かった為に、一週間程、スーパーの駐車場等をグルグルと探索して、やっと辿りついた「青」で、ネットで年式等を調べてオーダーしました。
 最近では缶スプレーの調色までオーダー出来るんですね。(約2000円/本)

 ナックル部分のラインも塗り分けをします。

 @ オリジナルのカウルからナックル部のラインの型どりを薄紙等でしておきます。
 A 写真(左上)では青で塗装がしてありますが、ライン部分はマスキングがしてあります。
 B マスキングを剥がすと白い部分が出現、@で取った型紙をライン毎に切り分けて鉛筆でラインの線を書き込みます。
 C 白色部分は青色と比べると凹んでいるので、白色は再塗装します。
 D 次は水色、最後に紺色と明るい色から塗装します。
 注意:ラインの境目は、ギリギリでマスキングをするのでは無く、ほんの少しだけ(0.2ミリ程)色が重なる様にマスキングをします。重ねないと下地の白色が見えてしまうでしょう。

 完成するとこんな感じになります。(自己満足)

 曲面が強いのでマスキングテープは曲面用を使いましょう。
 
 マスキングテープをカットする時には、デザインナイフを使用しました。
 カッターでは切れ味が役不足ですね、「スパッ」と繊細に切りましょう。(個人的感覚)

 この様な手順で他カウルも塗装です。
 
 クリアー塗装の前に全体を耐水ペーパー(#1000)で水研ぎをします。
 塗装の艶は無くなりますが、クリアーで復活するので心配ご無用。

 色塗装はアクリル系を使いましたが、クリアーはウレタン系を使います。
 耐ガソリン・耐傷・艶等々の理由で使います。

 しかし、ウレタン系は激毒性なのとミスト(浮遊塗料)がもの凄いので、長袖・長ズボン・マスク・帽子等で完全防備をしてください。
 出来るだけ広い場所で作業をしましょう、無理ならば家・自動車等有る場合はビニールシート等で覆う又は散水をして出来るだけミストの付着を防ぎましょう。
 凄いですよ、ウレタン系は。(要注意)

 3回の重ね塗りをしました。(スプレーの注意書きを読みましょう)

 乾燥は室内に持ち込み石油ストーブで室内温度を上げ2時間程放置。(6月下旬)
 その後、7日間の自然乾燥です。乾燥速度が遅いので、塗装後3日間は触らない事を薦めます。

 乾燥後にコンパウンド仕上げをするのが普通?なのですが、艶も有ったので省略(根性無し・・・笑)

 外装の全体図

 ライン等のサイズは元カウルからサイズを計測してあるので、一応はオリジナルラインです。(笑)

塗装が完了するまでに2ヶ月程。

 


 外装が完成したら後はカウルを取り付けて完成です。

 Fブレーキは「サンスター KC201」と「ブレンボ」を取り付けました。
問題なのはサポートで、これは一品物を作りました。

 ホイールは乾式Rの物を粉体塗装をして装着。

2006年5月
アンダーカウルもマフラーに合わせてカットも終わり制作完了。

 ここでは紹介していない細かい作業が沢山ありました、一番大変だったのは「汚れ落とし&錆取り」ですね、パーツクリーナー、アルカリ洗浄液等々を使って徹底的に。
下地処理は後々の仕上がりを左右するので、手抜きをしないで作業ですよ。

 インターネットを駆使して、塗装、ベアリング、ネジ等々のレストアに関する勉強を受験勉強の時よりさせて頂きました。(笑)
 素人がDIYでどこまで出来るのか?近所のホームセンター等で揃う材料で仕上げる!と決意をして作業を開始して約9ヶ月で何とか仕上げる事が出来ました。

 作業を焦ってはいけません。
 自分の知識・経験で処理出来ない時は、行きつけのバイク屋等でアドバイスをいただきましょう。
 

終わり

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